@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008346, author = {村山, 利幸 and Murayama, Toshiyuki}, month = {}, note = {本論文は,原子核による重陽子の弾性散乱の実験を通じ,核と重陽子の相互作用,特にそのスピン依存性を,現象論的立場から追求したものである。対象とした208Pb核は,二重閉殻の重い原子核で,光学模型に基づいた現象論的取り扱いに最も適している。また,クーロン障壁より十分低いエネルギー(9 MeV)と,高いエネルギー(20 MeV付近と56 MeV)におけるこれまでの研究から,この間のエネルギー依存性は有用な情報を与えるものと期待された。 測定は筑波大学の偏極イオン源とタンデム型静電加遠器により得られる偏極重陽子ビームを用い,10 MeVから21.5 MeVの間で,微分断面積,ベクトル偏極分解能iT11,テンソル偏極分解能T20,T21,T22について,主に後方角における精度の高いデータを得た。一般に偏極分解能は,この低いエネルギー領域では非常に小さな値(~10-2)であり,正確な測定が困難である。著者は,高速スピン状態変換を含むデータ収集システムを開発し,実験系の長時間にわたる変動から生ずる系統的誤差を排除し,高精度で信頼性の高いデータを得ることができた。 その結果,クーロン障壁エネルギー付近(13~15 MeV)で,テンソン偏極分解能T20の符号が反転する特異な振舞いを新たに見出した。同様な特異性は,他の成分,T21,T22にも程度の差はあるが観測された。 解析は光学模型に基づいて行った。重陽子光学ポテンシャルは,核子の相互作用のたたみ込み模型(folding model)に基礎を置き,TR型のテンソル相互作用を含む。テンソル偏極分解能は,テンソル相互作用に敏感である。測定したエネルギー領域の低い方では,たたみ込み模型のポテンシャルにより,実験データはかなりよく再現される。また高い方のエネルギーでは,これまでに知られている系統性と矛盾しない。この中間のエネルギーでは,観測された偏極分解能の特異性を反映し,ポテンシャルパラメータも特異なエネルギー依存性をもたせる必要がある。特に,虚数テンソルポテンシャルのdiffusenessを狭くすることが要求される。その他,各ポテンシャルパラメータについても詳細な変化を明らかにした。 このような弾性散乱における特異な振舞いは,核反応チャネル、特に核子移行と重陽子分解チャネルの効果の重要性を示唆する。 テンソル相互作用は,核の表面の性質を比較的敏感に反映する。ここに提示した実験事実と解析結果は,核表面の効果が重要な,低いエネルギーにおいて,テンソル偏極分解能が,重陽子と核の相互作用の詳細な知見を与えることを示している。 Differential cross sections and vector and tensor analyzing powers for elastic scattering of deuterons from 208Pb were measured at the incident energies from 10 to 23 MeV to investigate a deuteron-nucleus tensor interaction from below to above the Coulomb barrier. A fast spin state interchange control system (FASSICS) based on micro-computer has been developed ..., 1986}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Anomalous behavior of the tensor analyzing powers in deuteron elastic scattering from 208pb near the coulomb barrier}, year = {1987} }