@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008343, author = {来栖, 光彦 and Kurusu, Mitsuhiko}, month = {}, note = {ショウジョウバエの脳は,ヒトの脳の百万分の一の神経細胞から構成されるにすぎないが,学習,記憶,空間認識等,多様な高次脳機能が存在する。これらショウジョウバエの脳機能の中枢として機能しているのが,キノコ体と呼ばれる大規模な神経構造である。本研究では,胚期,及び幼虫期のキノコ体の分子解剖学的解析によりその詳細な形成過程と内部構造を明らかにすると共に,キノコ体形成を支配する転写制御因子群の同定をおこなった。 まず,これまで報告のほとんどなかったキノコ体の初期発生過程の詳細な解析を行い,胚発生期におけるキノコ体の初期神経軸索の伸長様式を明らかにすると共に,幼虫期キノコ体の構造を詳細に記載した。この解析により,胚発生過程の脳におけるキノコ体前駆細胞の正確な位置と,初期神経軸索の走行路を明らかにした。さらに,幼虫期におけるキノコ体が,均質な神経構造ではなく,遺伝子発現の異なる同心円状の層構造から成り立つことを発見した。次に,キノコ体神経細胞のモザイク解析を行い,新規に分裂供給された神経細胞がキノコ体層構造の中心領域に軸索を付加していくことを明らかにした。さらに,遺伝学的解析から,層構造の形成に細胞接着因子Fasciclin IIが必要であることを明らかにした。 つぎに,キノコ体発生を制御する遺伝子群を明らかにすることを目的に,以上の解剖学的解析によって同定したキノコ体前駆細胞の位置を手がかりに,胚発生過程のキノコ体でショウジョウバエPax-6相同遺伝子であるeyeless,及び,複眼形成遺伝子dachshundが高レベルに発現していることを見いだした。さらに,遺伝学的解析の結果,これらの遺伝子の変異体では,キノコ体の形成が著しく阻害されることを明らかにした。eyelessは,複眼形成においてdachshund,eyes absent,sine oculis等の転写制御遺伝子と協調的に機能する。下流のsine oculis,eyes absent,dachshundは,eyelessの発現をフィードバック増強し,最終的にこれらの制御網がさらに下流の数千の複眼形成遺伝子の発現を誘導する。しかしながら,キノコ体形成においては,同じくeyelessを中核としつつも,eyes absentもsine oculisも発現せず,さらにeyelessとdachshundの発現は,独立に制御されていることを明らかにした。これらの結果は,キノコ体発生では複眼形成とは異なる新規遺伝子群と制御ネットワークが関与することを示唆するものである。 The mushroom bodies (MBs) are uniquely indefinable brain structures present in the brains of arthropods. Functional studies have showed that the MBs are involved in higher-order behaviors such as olfactory learning and cognition. Despite wealth of knowledge on the anatomy and functions of the adult brain, ..., 2001, Includes bibliographical references}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Molecular Genetic Analyses of Development of the Mushroom Bodies, Centers for Learning and Memory in Drosophila}, year = {2002} }