@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008342, author = {畑中, 公 and Hatanaka, Ko}, month = {}, note = {本論文はキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の初期胚における核移動の様相を指標として,胚における細胞骨格系の役割を解明することを目的とした研究の成果を述べたものである。この目的のために著者は初期胚における核移動が異常となる突然変異体を集め,これらの突然変異体の核移動の速度や方向,胚の表層細胞質への核の侵入時期等を野生型と比較解析し,またこの突然変異胚において異常が検出される細胞骨格系の構成要素を検討し官さらに当該構成要素に異常をもたらすような実験的手段を講じた胚では核移動の様相がどの様に変化するかを調べて細胞骨格と核移動の関係を明らかにするという方法を採用した。 先ず突然変異の表現型を厳密に明らかにすることから研究を開始した。胚における核移動の異常は通常移動の遅滞として表れるが,著者はこれをタイムラップス・ビデオと組織学的方法を駆使して詳細に観察し,次の二つのタイプの突然変異を区別した。(a)全方位への移動が遅いもの(gs(1)N26, gs(1)N441, paralog),(b)前後方向への移動だけは正常なもの(1(3) c21RRw630)。特にタイプ(a)の突然変異については,核の動きを第一回の核分裂時から精細に測定し,この遺伝子が突然変異を起こすと分裂後の核を引き離す機構,及び一定の発生ステイジまでは核が表層細胞質に侵入することを阻止している機構が二つともに撹乱されることを明らかにした。この二つのタイプの突然変異の影響は発生の極めて初期のみに現れ,核が胚の表層に到達する時期(胞胚期)以後の胚発生は正常に進行する。ところが,同じく細胞骨格系に影響を与える突然変異の第三のタイプとして,(c)胞胚期になってからの核分裂に異常が認められるもの(aurora, early D)もあることを発見し雪細胞骨格系が胚発生の時期により異なる機構によって制御される可能性を示唆した。 次に,細胞骨格系構成要素事特に繊維状アクチン(F-アクチン)の胚内における分布の発生の進行に伴う変化を,F-アクチンに特異的に結合する蛍光標識物質と,共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡とを使って,野生型と突然変異の両方で詳細に記載した。その結果菅胚には二種類のF-アクチン系(中央系と表層系)があること,これらの構成は共に同じ遺伝子により支配されていること,さらに上記のタイプ(a)は全てF-アクチンの胚内における構成に異常があることを示した。またタイプ(b)はもう一つの細胞骨格構成成分である微小管系の異常であることを発見した。著者はさらに,F-アクチンあるいは微小管の構築を阻害する薬物で胚を処理すると,それぞれの突然変異体の表現型を模写することが出来ることを示し,突然変異体を利用して行った発見が正しいものであることを裏付けた。 著者はさらにこれら突然変異を起こした遺伝子の染色体上の位置を決定し,これらはこれまでに報告されているどの細胞骨格構成成分の遺伝子の位置とも異なることを示した。またアクチンやチュブリン(微小管を構成する蛋白質)は電気泳動法で解析する限り野生型と突然変異体との間で質量ともに異ならないことなどを明らかにし,本研究で扱った突然変異はこれらの細胞骨格の構成成分そのものの遺伝子ではなく,これらの蛋白質を細胞内で機能し得るように編成配置するために必要な物質の遺伝子の異常であろうと推論した。 以上の研究に基づき著者は,ショウジョウバエの初期胚における核移動にF-アクチンと微小管とが胚発生の極めて限定された期問だけ,特定の構築状態をとることが必要であること,この構築状態の詳細はこれから明らかにされなければならないが,その構築を行うためにはその限定された時期にのみ働く複数の遺伝子が必要であること,等を結論した。 In early development of Drosophila embryos, a series of characteristic cytological events proceed in a highly reproducible and coordinated manner. Among them, important ones are fertilization, nuclear divisions, nuclear migration, pole cell formation, and cellularization of blastodermal cells. ..., 1991}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Cytological analysis of maternal-effect mutations affecting functions of cytoskeketal elements in Drosophila early development}, year = {1992} }