@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008329, author = {橋本, 幸男 and Hashimoto, Yukio}, month = {}, note = {原子核は有限個の核子からなる量子多体系であり非線型・非調和性の極めて強い複雑な集団運動を行う。この大振幅集団運動を微視的多体問題の立場から解明する理論体系の建設は,最近の核分裂や重イオン反応実験の急速な進展とあいまって,原子核物理学での緊急かつ最重要課題の一つとして国際的な関心を集めている。申請者を含む筑波大学原子核理論グループは,この大振幅集団運動の微視的理論への一つの新しい考えを提出し,その体系化に精カ的に取組んできた。本論文の目的は,この新しい考えを“集団運動部分空問”の立場から展開し,定式化を試みることにある。 大振幅集団運動の微視的理論の建設にとっては,核子多体系としての原子核の状態空問の中から,集団運動を記述する“集団運動部分空問”をどのように規定するかという問題が第一の課題となる。このための決定的な条件は,“最小結合条件”と呼ばれるもので,集団運動部分空問と,その直交補空問(“固有”粒子運動部分空問)との間のハミルトニアンを介した結合が,できるかぎり小さくなることを要求する。この条件は集団運動が物理的に実現するための基本条件である。 本論文では,まずこの“最小結合条件”を“時間依存シュレディンガー方程式の不変性”という形式で定式化する。この定式化は,集団運動の微小振動近似としての乱雑位相近似(RPA)を,時間依存ハートリー・フォック(TDHF)方程式から導出する際の背後にある論理を,この近似の適用範囲を越えて非線型運動をも扱えるように一般化したものにほかならない。つぎに,この“時間依存シュレディンガー方程式の不変性”の要求を“補助ボソンを伴うユニタリー変換の方法”に課すことによって,集団運動部分空問が“固有”粒子運動部分空問とのハミルトニアンによる結合が切れるようにダイナミカルに抽出され,理想ボソン空間に自動的に写像されることが示される。 この理論によって導出される基本方程式系は,上記の“最小結合理想ボソン空間”とその中での集団運動を記述するボソン・ハミルトニアンを自己無撞着に決定するという構造を持つ。量子論的に定式化されたこの基本方程式系は,ボソンに対して,“古典近似”を行うと,TDHF近似の枠組の下での基本方程式系に移行することが示される。 TDHF理論の枠組においては,系の状態空問に対応する変分パラメーターの多様体(TDHF多様体)が導入されるが,本論文では,上記基本方程式系によって導出される“集団運動部分多様体”(超曲面)の幾何学的性質が議論される。そして,その集団運動部分多様体(超曲面)が,その超曲面に垂直な方向についてのTDHFハミルトニアンの変分が停留値をとる,という要請で規定されていることを明らかにする。これは,TDHFの枠組内での“撮小結合条件”の表現にほかならない。こうして考察下の大振幅集団運動はその超曲面上の軌道として実現されるそとが結論される。 以上の理論構成は,複雑な原子核の大振幅集団運動の量子論を,TDHF近似の枠組を使って,TDHF多様体中の超曲面の広域的性質の研究に移しかえて分析することを可能にする。最後はこの集団運動部分多様体の安定性に関する考察が論じられている。 A new microscopic theory for the large-amplitude nuclear collective motion is developed on the basis of the guide-line called the “invariance principle of Schrodinger equation”. The full quantum theory thus developed turns out to be a generalization of the kinematical boson-mapping theory so far proposed, ..., 1983}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Toward a microscopic theory of large-amplitude collective motion}, year = {1984} }