@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008325, author = {小林, 英昭 and Kobayashi, Hideaki}, month = {}, note = {液体ヘリウムの研究は古くから物性物理学の発展に重要な貢献を果たしてきた。1つの例としてフェルミ液体理論が挙げられる。ヘリウム原子の同位体の1つであるヘリウム3はフェルミ粒子であり,よく知られたように,ランダウは液体ヘリウム3の研究を通して,個体電子論の柱の1つであるフェルミ液体理論をつくりあげた。現在の固体物性物理学の重要な課題の1つは,酸化物高温超伝導体に代表される低次元強相関電子系の理解である。近年グラファイトなどの基板上に吸着された2次元液体ヘリウム3が盛んに研究されているが,この研究を通してそれらの2次元強相関電子系に対する新たな洞察が得られるものと期待されている。2次元液体ヘリウム3の問題で最も重要で興味深いかつさまざまな問題が集約されて出現する現象は超流動転移である。著者は,本論文において2次元液体ヘリウム3における原子間の有効相互作用とそれによって引き起こされる可能性のある超流動状態の対称性を議論している。 本論文は大きく分けて前半部と後半部に大別される。前半部分において著者は低密度領域で有効な,2体相関効果を取り入れたR行列理論あるいはK行列理論と呼ばれる近似理論を2次元液体ヘリウム3に適用してその有効相互作用を求め,それによる超流動転移を議論している。かつてこれらの理論は3次元液体ヘリウム3に適用されたのであるが,その場合には誤った結論が得られていた。しかしながら,著者は2次元においては3次元の場合とは異なり液体の密度を大きく変化させることができることに注目し,低密度2次元液体ヘリウム3においてはこれらの理論が有効となることを示している。その結果,低密度2次元液体ヘリウム3においては,相対角運動量量子数が1のp波クーパー対による超流動状態が1ミリケルビン程度の低温度で実現するとの結論が得られている。 後半部分では,より高密度となり2体以上の多体相関効果が重要となる場合の超流動転移について議論されている。この場合には3次元の場合とおなじく2次元においてもスピンゆらぎが強く増強されることに着目し,著者は3次元において成功を収めたパラマグノン理論を2次元液体ヘリウム3を適用した。2次元の場合は3次元の場合と異なり,高密度の場合にどのようなスピンゆらぎが発達するかが明らかではない。著者は,量子モンテカルロ法とゆらぎ交換近似法(Fluctuation-exchange approximation)と呼ばれる方法を用いてこの問題を調べ,相関効果によって強滋性的なスピンゆらぎが発達することを見出した。このことから,高密度領域においても低密度領域と同様にp波超流動状態が実現する可能性が高いことが結論された。 Studies of liquid helium have been a rich source of ideas and inspirations for physics for a long time. Since bulk liquid helium is an isotropic and uniform system free from randomness, it is an ideal model system of theoretical condensed matter physics. The ideas that were clarified through studies of helium have had a great influence on various fields in condensed matter physics. ..., 2000, Includes bibliographical references, [3] is superscript}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Study of the effective interaction and superfluidity in two-dimensional liquid [3]He}, year = {2001} }