@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008311, author = {広瀬, 裕一 and Hirose, Euichi}, month = {}, note = {自家不和合性や移植免疫に代表される自己と非自己の識別は生命体の示す重要な個体聞相互作用であり,群体ホヤにおいて見られる群体特異性にはこの自己・非自己認識の基本的現象が含まれていると考えられる。本論文においては,特異性の存在が既知の群体ホヤの1種(Botrylloides simodensis)と未知の2種(B.fuscus, B.violaceus)を用いて,何が非自己を認識し,どのような過程で拒絶反応が進行するのかを形態学的に明らかにし,その認識の場(allo-recognition sites)を絞り込むことに成功した。 まずallo-recognition sites同定のための基礎的研究として,癒合・拒絶反応の場である群体周縁部の構造を精査し,被嚢の細胞を形態学的にamoeboid tunic cellとvacuo-granular tunic cellの2種に,血球細胞をhaemoblast,phagocyte,granular leucocyte,signet ring cell,morula cellの5種に分類した。 種内における群体特異性は種によって異なり,B.simodensisでは生長端での自然な接触の場合でも人為的な切断面の接触の場合でも群体特異性を示し,cuticle直下に被嚢細胞の壊死をもたらし,これをsubcuticular rejection(SCR)と名付けた。一方,B.fuscusとB.violaceusは,生長端では群体特異性を示すSCRを生じるが,切断面では,組み合わせに関係なく癒合する。しかし癒合後数週間で再び2つの群体にわかれることが多く,これは癒合後に遅延性の群体特異性が働いていることを示唆している。 異種問の癒合実験ではいずれの組み合わせにおいても癒合は見られなかった。 拒絶反応の課程をSCRと切断面における拒絶反応の両方について調べた。生長端の接触では拒絶反応としてSCRが誘導されるが,それに先立って被嚢の部分的な癒合が起こり,この癒合では拒絶反応と共通の過程を経る。癒合であればこのまま被嚢の癒合が進行するが,SCRでは部分的に癒合したところへtunic cellや浸潤した血球が集合し,これらの細胞が崩壊して壊死を生じる。特にmorula cellの浸潤が目立つ。崩壊したmorula cellからは電子密度の高い物質(組織切片では好エオシン物質)が放出され,被嚢基質中に拡散する。その後,壊死した部分の周りには電子密度の高いフィラメントが集合し,new wallが形成され,壊死部が群体から仕切られる。 以上の知見を基に,Botrylloides種に共通のSCRの過程を以下のように考えた。1)初めに部分的な被嚢の癒合があり,これを通じてそれぞれの群体の被嚢中の液性成分が交換される。2)液性成分中の自己・非自己を示す因子を認識担当細胞が受容して,tunic cellや血球の集合を誘導する。3)集合した細胞が崩壊し,相手群体と接触した組織の壊死を起こす。特にmorula cellは高電子密度の物質を放出し,これが被嚢基質の構造を破壊すると思われる。4)new wallが形成され,破壊された組織を群体から切り離す。new wallはその後新しいcuticulとなり,一連の反応は終結する。 特にenforced fusionをしめすB.fuscusとB.violaceusに於ては,上記の認識担当細胞(short termのallo-recognition sites)は被嚢中に散在するtunic cellに特定でき,ホヤの自己・非自己反応においてこの細胞が最も重要な役目を担っていると結論された。 The allogeneic recognition between colonies of botryllid ascidians was studied as an indication of the colony specificity. the recognition reaction were examined in colonies contacted at their growing edges and cut surfaces. 1. Colonial edges, the frontal site of the allo-recognition, ..., 1990}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Colony specificity and possible allo-recognition sites in Botrylloides (Ascidiae Compositae)}, year = {1991} }