@phdthesis{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00008308, author = {北山, 仁志 and Kitayama, Hitoshi}, month = {}, note = {1970年代の初めに、癌細胞に正常細胞を融合させると正常細胞の形質が現われる場合があることが 報告されたが、果たして癌化抑制をする遺伝子が実存するのかが問題となっていた。これまで、多く の癌遺伝子の解析が急速に進められてきたが、癌抑制遺伝子の単離やその性状を明らかにした報告は 全くなかった。  著者は、この点に着目し、癌細胞を正常化しうる遺伝子の単離を試み、世界で初めて癌抑制遺伝子 の単離に成功した。さらに、癌抑制遺伝子の構造と作用機構の解析から、この遺伝子は正常細胞に遍 在するもので癌遺伝子産物の活性を制御する可能性があることを明らかにした。これらの結果は、癌 遺伝子の機能や癌化の機構を探る観点からも重要な新発見であった。以下に得られた結果を要約する。  I.癌抑制遺伝子の単離  癌細胞として、マウス線維芽細胞株NIH3T3に2copiesのKirsten肉腫ウィルスが感染している DT細胞を用い、これにヒト正常線維芽細胞のmRNA由来のcDNA発現ベクターをトランスフェクトし、正常型へ復帰した細胞(リバータント)を得、その細胞から悪性形質抑制能を持つcDNAを回収 する方法を用いた。その結果、7株の形態的に正常化したリバータント株がとれ、それらの細胞株で は通常通りras癌遺伝子の発現が確認された。  II.癌抑制遺伝子Krev-1の構造と発現  リバータントの1株から回収されたcDNAはDT細胞にトランスフェクトすると正常化への誘導能 を持っている。このcDNAをKrev-1と名づげcDNA塩基配列を決定したところ、全長1.8Kbの長 さの中に184個のアミノ酸をコードできる領域が含まれていた。この遺伝子産物はras癌遺伝子産物と 50%前後の同一性を持っていた。Krev-1遺伝子が生体内で癌化抑制に働いているとすれば広く動物 種に保存されている筈である。実際、検討の結果、ヒト、ラット、マウス、ニワトリ等の高等動物に この遺伝子が存在し、しかも、動物の各組織にレベルの差はあるが活発に発現していることが判った。 III.点突然変異を導入したKrev-1の活性  Krev-1は伽癌遺伝子と類似性をもつが逆の生物活性を持つので、ras遺伝子との類似点と相違 点をより明らかにする必要があり、アミノ酸1個の置換を起こす変異を特定の部位に導入したKrev-1の活性を調査した。これまで、rasのトランスフォーメーション能を左右することが知られてい る12番目、17番目、38番目、59番目、61番目、63番目、116番目、160番目、167番目、181番目の各ア ミノ酸置換を行って、活性を調べたところ、12番Val,63番Gluの変異をもつKrev-1は腫瘍形成に 対して強い抑制効果をもつことが判った。このKrev-1はDT細胞のみではなく、ヒトに自然発生し た腫瘍細胞のヌードマウスでの腫瘍形成を強く抑制することも明らかになった。  IV.Krev-1の癌抑制能領域  Krev-1の癌抑制能を支配する領域が遺伝子のどこにあるのかを知るためにras癌遺伝子とのキメ ラ遺伝子を作成し、癌抑制能を活性の指標として検討した。その結果、N末端1-59番までのアミノ 酸配列中に抑制能をもつ領域があることが判明した。また、Krev-1はras遺伝子群と同様に GTP・GDP交換反応により活性が制御されていることも判った。 Seven morphologically nontransformed (flat) revertants with reduced tumorigenicity in vivo have been isolated from populations of Kirsten sarcoma virus-transformed NIH 3T3 ("DT") cells following transfection with a normal human fibroblast cDNA expression library. ..., 1990}, school = {筑波大学, University of Tsukuba}, title = {Isolation and genetic analysis of the Krev-1 gene with transformation suppressor activity}, year = {1990} }