@misc{oai:tsukuba.repo.nii.ac.jp:00029192, author = {西村, 泰一 and NISHIMURA, Hirokazu}, month = {Jul}, note = {講義概要 この講義では瞬間の速さ(微分)の捉え方に2通りのやり方があることを勉強します。現在高校の数学で普通に行われている微分を極限で捉えるというやり方は19世紀以後のもので、もう少しきちんとやると、悪名高いεーδ論法という話になります。NewtonやLeibnizは17世紀の人達ですが、彼らはこうした流儀で微分をとらえたのではなく、冪零無限小を用いて理解していました。これは18世紀のEulerらの数学者についても言えることです。この講義ではまず2つのやり方の違いを (fg)’=f’g+fg’ といういわゆるLeibnizの公式の証明について具に検討することで、19世紀以降のやり方がどう不自然であるかを自然に理解してもらいます。 しかしNewtonたちのやり方は、哲学者Berkeleyの批判を待たずとも、あのままでは、いい加減の謗りを逃れ得ないことも事実です。ところが20世紀中盤になって数学は色々なNonstandard Worldsを作り出す手法を手にいれます。数学基礎論のForcings、あるいは多変数関数論に端を発して代数幾何学を初めとする色々な数学の分野で使われるようになったSheaf TheoryはやがてTopos TheoryというCategory Theoryの一大分野を生み出します。そしてこのTopos Theoryの手法で、Newton達が見ていた世界を整合的に作り出すことができます。ただそうした話を本格的にしだすと、高校生相手の講義ではなくなるので、ここではNonstandard Worldを“あの世”という詩情豊かな表現で誤魔化しています。この世では、冪零無限小などなかったのですが、あの世にはちゃんと存在するというわけです。NewtonやLeibnizはこの世からあの世を霊視していたというわけです。霊視は数学の専売特許ではなく、たとえば19世紀半ばにメンデルは遺伝子を霊視しました。今では遺伝子工学は花盛りで、遺伝子というDigitalな形で遺伝情報が子孫へ伝達されていくなどという話は当たり前の話になりましたが、メンデルがこの話を発表した当時は生物学者は誰もメンデルの話をまともに取り上げようとはしませんでした。メンデルの末期の言葉は“いずれ私の時代が来る”というなんとも凄まじいものでした。霊視ができると必ずしも幸せな人生と歩めるというものでもないのです。 さてこの講義の後半では、Taylorの公式を無限小のLevelで導きます。通常出回っているTaylorの公式と形はほとんど同じですが、無限小のLevelでやると誤差項がまったくでてきません。しかも導出はかなり代数的です。そのあたりの雰囲気を満喫してもらいます。, 筑波大学附属駒場高等学校 研究室訪問 (2010年度)}, title = {2010年 微分学のRenaissance}, year = {2010}, yomi = {ニシムラ, ヒロカズ} }