公表済み論文を掲載する前に、著作権譲渡契約内容をご確認ください
論文を雑誌に投稿する著者の皆さんは、多くの場合、刊行元の出版社や学協会と「著作権譲渡契約」を結んでいます。刊行元は論文をコピー(複製)し大量頒布するため、著作権を持っている必要があるのです。そして、リポジトリも出版社や学協会と同様、著作権保持者の許諾なしにコピー(複製)・サーバーへアップロード・インターネットでの公開(公衆送信)を行うことはできません。
そのため、すでに雑誌等で公表されている論文をつくばリポジトリへ登録される場合は、刊行元の出版社や学協会に対する確認手続きが必要になることがあります。その手続きや次項で説明する「著作権ポリシー」が明示されていない場合は、電子メールなどで刊行元にお問い合わせください。
著作権ポリシー(copyright policy)とは
刊行元の出版社や学協会が定める、論文の公開許諾の条件・方針のことです。
著作権ポリシーは多くの場合、出版社や学協会のWebサイトに掲載されています。登録できる「版(version)」や公開期間に制限が生じるものがありますので、リポジトリ登録の際はご確認ください。
エルゼビアやシュプリンガーなどを含む海外大手出版社や学協会の多くは、著者が機関リポジトリから自著論文を公開することを認めています。また、学協会著作権ポリシーデータベース(SCPJ)では日本国内の学協会の、SHERPA/RoMEOでは海外出版社・学協会の著作権ポリシーの情報を調べることができます。
登録できる「版(version)」に制限がある場合
多くの場合、論文の版は「著者版」と「出版社版」で区別されます。

著者が手元に持っている原稿そのものです。著者がジャーナルに投稿した後、著者版は査読や出版社とのやりとりを経て校正がなされていき、その中でも「査読前論文(pre-print)」と「査読後論文(post-print)」や「著者最終稿(final version)」といった名称が付される場合があります。
海外の出版社や学協会などの多くは、著者最終稿を機関リポジトリに登録することを認めています。論文がジャーナルに掲載された際には著者最終稿をつくばリポジトリに登録されることをおすすめします。
- 【出版社版(publisher version)】
著者版をもとに、出版社が自社やジャーナルのロゴを入れて商品とした版です。学術雑誌や電子ジャーナルに掲載され、多くの読者が閲覧します。
出版社版を機関リポジトリに登録することを認めている出版社や学協会も一部存在します。また、著者がAPC(原稿出版加工料)を出版社に支払い、ゴールドオープンアクセスを選択することで初めて出版社版の利用が許可される場合もあります。
著作権ポリシーは5種類に大別することができ、SHERPA/RoMEOやSCPJではGreenやBlueなど5色に色分けして表現します。
Green、Blue、Yellowに該当するものは、機関リポジトリへの登録が可能です。
分類 | オープンアクセス方針 |
Green | 査読前論文・査読後論文どちらでも掲載を認める |
Blue | 査読後論文のみ掲載を認める |
Yellow | 査読前論文のみ掲載を認める |
White | 掲載を認めない |
Gray(SCPJのみ) | 方針が未定、もしくは無回答 |
公開猶予期間(embargo)がある場合
一部の出版社や学協会では、出版後一定期間が経過するまでは、機関リポジトリなどで同一論文を公開することを認めない場合があります。これを公開猶予期間(エンバーゴ、embargo)と呼びます。
3ヶ月間、6か月間といった短期間のものから、48ヶ月間の公開猶予期間を設けているジャーナルなどがあり、その実態はさまざまです。
つくばリポジトリには登録したコンテンツを指定期日に公開する機能がありますので、お預かりした論文を、公開猶予期間を守って公開します。
それでも不安な場合は……
つくばリポジトリ担当者(下記)にお問い合わせください。
附属図書館情報企画課リポジトリ担当
TEL: 029-853-2470
E-mail: tulips-r@tulips.tsukuba.ac.jp